ファインダー'82〜脱50mm
(2003.05.14)


 中学2年になった頃、そろそろ交換レンズが欲しくなってきた。私は鉄道をメインに撮っていたのでやはり望遠レンズが欲しかった。ウッツンはスナップ主体なので広角を物色していた。この件について、二人でよく議論したものだ。
私はズームを考えていたのだが、純正かレンズメーカー製かで悩んでいた。今ほどレンズメーカーのレンズが評価されていない時代だったからだ。
「値段高いけど、やはり純正のほうがいいかなあ」と私が言うと
「あたりまえやんけ! *ムロンとか*グマを使っているプロおるか?」
ウッツンは完全な純正主義である。
「おう。そうやのう。しかし手が出るとなると、70-210のF4やなあ」
当時、定価で61,000円した。
「あんな中途半端な直進ズームやめとけ。80-200のF4Lにせいや。Lレンズやぞ。描写が全然違うやんけ」
こちらは定価10万。買えるわけがない。まあ、Lレンズは別にして、純正にするかどうかは重要な問題であった。

「ところで、オマエは何買うねん?」と聞くと
「28mmのF2.8かF2にしようか、迷ってるんや」
これは意外だった。
「F2? 値段が倍違うぞ。単焦点で6万も注ぎ込むのか?  そんなもん買うなら、F2.8にしてもう1本他のレンズ買った方がええやんけ。アホちゃうか、おまえ」
「せやけどF2やぞ、F2。F2.8やったら1/15のところを1/30切れるんやぞ。ブレんで撮れるんや。すごいやんけ。それに描写も違うぞ。おそらくLレンズなみや。俺はしょーもないレンズで描写の甘い写真撮るなんて許されんのや」
そこにはウッツンのプライドが見え隠れしていた。そしてその一言は私の胸奥にも響いてくるものがあった。決めた。純正ズームを買おう! Lは無理だが70-210mmF4を買うぞ、と。

 よって時を同じくして、我々は交換レンズを手にした。二人で撮影に行ったときはそれぞれのレンズを貸し借りして撮影した。出来上がりをみて
「やはりレンズは純正に限るわ。このシャープ感は、*ムロンとかだと絶対無理やな」

 その頃、他の友人がテフノンというえらく安い望遠ズームを買った。たしか70-210mmF4ぐらいで2万円弱だったと思う。我々はそのレンズをさんざんバカにしていたのだが、そいつが撮ってきた写真は、私の望遠ズームで撮ったものをほとんど区別がつかないくらいきれいに写っていた。それを見て、私とウッツンは
「ボケがキタナイな。それに発色がイマイチやな」と苦し紛れのイチャモンをつけた。別の奴が*ムロンの広角ズームを買った。これもきれいに撮れていた。
「逆光で撮ったら、たぶんゴーストの嵐やろな。純正はこれが違うんや」と、これまた苦しい文句をつけていた。が、内心は正直びっくりしたのと同時に、純正を買ってえらく損をしたような気分になり落ち込んでいたりした。
「やはりレンズは純正なんや」と、ほとんと信仰心のみで自分たちの選択眼を慰めていた。14歳の我々に識別能力なんてあるはずがないし、レンズを選ぶような写真を撮る力量もない。たんなる見栄っ張りのバカだったのである。






大阪・関目

2001.5

Canon AE-1PROGRAM NewFD28mm F2

ネオパン 400 PRESTO

※写真と本文は関係ありません